SHINee WORLD 2014〜I'm Your Boy〜

SHINee WORLD 2014〜I'm Your Boy〜」国立代々木競技場第一体育館での公演に行ってきた。またもや会社から逃げるように早退して、ハイヒールの煩わしさも厭わず、代々木公園前の歩道橋まで全速力で駆け抜けた。何度この歩道橋を渡って、何度その先の極楽浄土を目指したのだろう。季節問わず佇むベビーカステラの屋台の誘惑は今日も健在だった。そして同様にギリギリで到着した友人と、歩道橋という三途の川の水面で合流。半年以上ぶりの再会に喜びを示す余裕もなく、極楽浄土を目指して必死に船を濃いだ。iPhoneのロック画面に目を走らせると開演まで5分もなかった。18:30ジャスト、着席。ハイヒールを脱ぎ捨てた。

毎度おなじみSMのオープニング芸から始まりました。今回はサイバー系でひと味違うなと思ったら、やはり登場しましたそびえ立つビル群、重力を無視した超人歩行、世界を達観した眼差し、世界を統べる挙動。キーちゃんがB-BOYのような格好で壁を走っているのを見て、村上信五(a.k.a KING)と岡田准一(SP)が光の速さで脳裏を通過していった。キーちゃんにこんな格好をさせた監督とスタイリストは体育館裏に集合。サイバー空間でコンサートステージを組み立てていくSHINee。カウントダウンの秒数を刻むデジタル盤が気持ちを逸らせる。0秒になり、一曲目「365」のイントロが流れ出す。テミンの第一声に次いで、キーちゃんの声が聴こえた。まだ姿は見えていないのにその声を聴いた瞬間、涙が溢れ出した。去年の夏にSHINee WORLDに行ってから、一度もSHINeeの現場に足を運んでいなかったわたしは、およそ一年ぶりに聴いた彼の声に感極まってしまったようです。ちなみに、号泣している自分に自分でドン引いた。曲の切なさとダンスの完成度の高さが相俟って感情を高ぶらせてくるものですから、「365」中は泣きっぱなしでした。そこから「Sherlock」「Love Like Oxygen」「Hello」と懐かしさ満載の曲目がわたしを襲い、またもや大混乱。久々に「Hello」の日本語バージョンを聴いたけど、やっぱりこの曲の日本語詞は大勝利だったと思う。特にCメロの『歩く速さは君に合わせよう 僕の方から』ってサイコー〜〜〜

「Replay」はスツールに座ってのアコースティックバージョン。最後のラップとメロディーが重なるパート、正直何言ってるのかさっぱり分からなかったけど最高だね。ジョンヒョンの歌声が賛美歌のごとくうつくしく、ラッパを持った天使が彼のまわりに飛び交っている幻想を見た気がした。「Bounce」は予想通り、キーちゃんの存在、声質が映えていました。そして「히치하이킹(Hitchhiking)」が聴けて「Dream Girl」のアルバムペンのわたしは歓喜しました。ダンスがいつもに増してキレッキレでおののいた。「Evil」のパフォーマンスと演出が中二病全開だったけれど、妖し気なライティングの中踊る彼らはこの上なくかっこよかった。欲を言えば「Why So Serious?」のアルバムの中だったら「Dangerous」か「Like A Fire」が聴きたかったです。あと「Fire」でうっかりまた泣きそうになりました(去年のSWではなぜか「Fire」で泣いた)。「Lucky Star」もリリース当時は嵐みたいなダサさだね!と絶批評していましたが、パフォーマンス込みで聴いたらこの曲最高かよといとも簡単にその意見を翻しました。「Everybody」「Breaking News」というテンションの上がる曲2曲がつづき、アドレナリン大放出。「Everybody」のオニュがかっこよすぎて痺れました。最後のおキーちゃん、ジョンヒョン、オニュの3人のフェイクがすごくかっこよかった。今更だけど言わせてくれ、すごくかっこよかった。そしてどさくさにまぎれて「Everybody」の日本語詞がいい。最後の「Juliette」「LUCIFER」「Downtown Baby」のトリプルコンボもわたしを更なる興奮の渦へ巻き込んでいった。「Downtown Baby」いい曲ですよね(おキーちゃん目立ってるし)。ただ、かけ声?合いの手?が90年代ジャニーズのそれだった。フッフーって古すぎやしませんか。アンコールはだいすきな「Dream Girl」が聴けて満足。最後が「Dazzling Girl」ってどうなんだ、と思いましたが、キラキラ輝く銀色の降らしものが舞う中、全力でパフォーマンスする5人が尊くて何かもかもがどうでもよくなりました。 

MCはミノがよく喋るようになったなという印象が強かったです。おキーちゃんは相変わらず大阪のおばちゃんみたいな流暢な日本語を撒き散らしていていとおしかったです。その反面テミンとジョンヒョンのお疲れ組(痩せていたのもあり、すごく疲れているように見えた)の口数が減っていたのが気になりました。オニュはご機嫌で爆裂かわいかったです。外見の話をするとジョンヒョンが本当に痩せてしまっていて心配になりました。二の腕が「Sherlock」カムバック時期の半分ほどしかなく、儚気に映った。テミンさんは麗しいけれど以前のような明るい繊細さが消えていてちょっと寂しかったです。ミノは前髪を上げていてヘアメイクさんに軽い殺意を覚えましたが、何にせよいい男でした。映像の中で白いニットに身を包んだ無邪気なミノがいたのですが、そのイケメンぶりに仰け反り、代々木第一体育館の天井を仰ぎ見て神に救いを求めた。肝心のおキーちゃんは餅のようにふくよかで、明るい髪色が柔和な雰囲気を醸し出していました。

衣装替えなど、暗転している間に流れる映像に関して言えば、キーちゃんがオチ役になっていて違和感を覚えました。いつからそんな役回りになったのだろう。テミンのシーンは磨り硝子のようなファンタジー調のフィルターがかけられており、会場のあちらこちらで黄色い声が上がっていました。ジョンヒョンやオニュ、ミノもみんなかっこよく撮ってもらっているというのに、キーちゃんの冷遇具合に一人地団駄を踏みました。バイクに跨がるシーンなんか、どう考えてもキーちゃんのキャラクターに合致していないのに、なぜこんなストーリーにしたのか。映像関連でいちばん笑ったのは、冒頭のサイバー映像シリーズのつづきでウィルスにより作り上げたステージ世界が崩壊するシーンを描いた映像です。ミノの日本刀、テミンとオニュののし棒(?)は置いておいて、おキーちゃんのブーメランが理解不能すぎて思考回路が停止しかけた。けれど何よりジョンヒョンの素手に抱腹絶倒。素手で立ち向かうキムジョンヒョン面白すぎか……

感動を絶え間なく提供してくれたSHINee、ありがとう。新興宗教を彷彿とさせる謎のキャラクターたちや、韓国的超展開な映像など、ところどころつっこみが追いつかなかったけれど、総じて最高としか言いようがありません。5人の全力のパフォーマンスに圧倒されつづけた2時間半で、行ってよかったと心の底から思えるコンサートでした。東京ドーム公演も当選の連絡が友人からきたので行くことになり、今から心躍っています。