f(x) the 1st concert DIMENSION 4 - Docking Station in JAPAN

f(x) のデビュー以来初の単独コンサートがソウルにつづき、ここ日本でも開催されるというとんでも情報が飛び交って、ネットの海の端々で荒波が立ったのはいつだったか。わたしも乗るしかないこのビッグウェーブ、と言わんばかりにすぐさま友人に連絡をとり、どの公演入る？何回入る？ペンラ付きとなしどっち？ていうかチケットとれるのかな？何口応募する？とチケット確保の段取りを開始。さいわい、奇跡が起きて重複なく東京公演土日両日のチケットをゲットした。神さま、仏さま、ありがとうございます。

そんなこんなで迎えました、初日当日。そもそもツアーの初日公演に入るということ自体がすごくひさびさで、まだ誰ひとりとして知らぬコンサートを、世界でいちばん最初に見られる幸福感を噛み締めながら有明コロシアム（名前が強そう）に初入場。ドームに慣れた冷え性の体には会場内寒すぎ問題であった。定刻通り 18:00 に暗転し、会場内に流れていた「Paper Heart」のボリュームが上がっていき、呼応するようにファンの熱気と期待が高まっていくのを見た。（どうでもいいけど「Paper Heart」ってはじまりというよりエンドロール感ない？）"かわいい"以外の語彙を失わさせる威力のオープニング映像を見て、見えない敵と謎のフォース的な力でバトルを繰り広げていた SHINee のいつぞやの激ダサ映像を脳裏で描きながら、かわいい映像用意してもらえてよかったね…！と涙が滲んだ（SHINee のファンです）。四次元の異世界へ吸い込まれていく 4 人の映像と自分が重なって、ようやく f(x) のコンサートにきたんだと実感。最後にフィルム映画のようなカウントダウン映像が流れ、ファンの声とともに 10、9、8、7、6、5、4…とカウントをつづけていると 4 の数字でカウントが永遠にストップしていることに気づきざわめく会場。天井から箱が落ちてきて、一瞬の隙のうちにそこには 4 人の姿が。首から上を隠していた箱を天井に返すと、麗しいご尊顔が明らかにされてもうこの時点で気持ちはステージに向かって五体投地。同じ人間とは思えないうつくしさ。ルナとアンバーのダンスブレイクを挟んだあとのクリスタルの一言、「Welcome to the Docking Station.」が言いおわった瞬間に三途の川 2 往復はした。たぶんあのとき会場にいた全員、オリンピック選手を凌ぐ速さで彼岸にタッチして、コンサート見るために往路上回る勢いで此岸に戻ってきたよね。

「Electric Shock」で始まり「Red Light」と、表題曲でお出迎えといったところか、どんなファンも置いてけぼりにしないで初っ端から感情メーター振り切りで盛り上がらせてくれる。ちなみにわたしがこのコンサートでいちばん惚れ直したのは実は「Red Light」かもしれなくて、間奏のオーケストラアレンジとCメロのルナ無双に圧倒されて土日両日泣いた。ルナの歌声ってパワフルで瑞々しくて、時に繊細でラブリーで、この子が f(x) のメインボーカルでよかった…ってこの文章書きながらまた泣きそうになっているんですけど。今回奇しくも会場に足を運べなかった方々はDVDで「Red Light」に乞うご期待ください。「Dracula」は実はあんまり音源聴いていなかったけど、演出勝ち。首すじをタップする振り付けも印象的だった。ドラキュラに扮したクリスタルのうつくしさは言うまでもない。小説一本書ける。ここまでの衣装はえんじ色のジャケットに各々のボトムスで正装風味だったけど、それぞれのキャラクターに合っていてよかった。特にアンバーに黒のタートルネック着せたスタイリストには金一封を贈りたい。

ここからは衣装チェンジを挟んで制服風な、白シャツと赤チェックのプリーツスカートに白靴下と白スニーカーを合わせた「Rum Pum Pum Pum」スタイル。と、思ったらこの衣装で「Rum Pum Pum Pum」やらないの！そういうファンの予想を簡単に裏切っていくf(x)ね、一生ついていく。学校がテーマのコーナー。曲の内容としては学校の要素あったかなと思いつつもかわいいので何でもいいです。「Gangsta Boy」のゆるい曲調と緩急つけた振り付けのギャップがすき。いちばん会場が揺れたのはやっぱり「La Cha Ta」かなと思った。わたしもイントロが流れ出したときに今までにない興奮が体の芯から湧き上がるのを感じた。この曲でのデビューから長くて短い時を経て、満を持して4人でパフォーマンスする「La Cha Ta」には感慨深くならざるをえなかった。つづく「Me+U 」も大いに盛り上がった、わたしが。「yeah〜」「ohh〜」の合いの手をやるたのしさ。「피노키오 (Danger)」はあいかわらず最後の決めポーズがかっこよくて痺れる。「Beautiful Goodbye」は和訳を見たときに、恋する女の子の気持ちってどこの国でも変わらなくて、それを歌うアイドル尊いなと思った記憶が蘇った。「Sorry (Dear. Daddy)」もまさか歌ってくれるとは思っていなかったから遠慮なく泣いた。

衣装チェンジ中の映像でわたしのすきな「Signal」が使われていて、歌わないのか！と悲しみに打ちひしがれたけど、映像がかわいすぎてなんでもいい。わたしのだいすきな、女の子はお砂糖とスパイスでできているのってかんじがぎゅっと詰め込まれた映像で胸が苦しくなった。料理しながら謎のファンキーな動きするビクさんかわいすぎない？映像に惚れ惚れしたあと、ステージ上にスタンドマイクが現れたと思ったら、アイドルの衣装界モンドセレクション最高金賞受賞レベルの衣装で登場して目をひん剥いた。だいたいは韓国本土から日本に輸出される過程でなぜかダサくなる目に見えない法則が働いて、またか…と落胆するのが常だったが、今回は拳を天に突き上げ大勝利のポーズをキメるしかなかった。しかもこの衣装で「Shadow」をかわいらしい振り付け上乗せでやってくれるものだから頭が上がらない。「빙그르 (Sweet Witches)」は座って歌う4人のうしろでダンサーさんがピンクと水色のストライプ柄のパラソルをくるくるするシーンが曲とぴったりでよかった。「Ice Cream」も予想通りのかわいさ。「NU ABO」は衣装の都合でビクの開脚が見れなかったのが少し残念だった。次のスキニー衣装でやればよかったのにな、とも。

次は旅がテーマ。映像は背景が変わりつつも4人が延々と歩きつづけるシンプルなものだったけど、今回のコンサートの宣伝用衣装でかわいさ無限大だったためオールオッケー。このときのルナのオレンジのワンピースがとってもかわいいからほしい。ワンピースに合わせた黒のストラップシューズもいい。「Traveler」（もちろんジコラップはなし）から「Zig Zag」「Airplane」「Jet」と、ファンを唸らせるつなぎ。こんなに旅をテーマにした曲があったんだなと振り返るのにもよかった。「Zig Zag」なんかは、音源として個人的にとてもすきだったんだけど、パフォーマンスとしてはどうなんだろう？ちゃんと盛り上がるのかな？と懸念していたら、そんなの心配ご無用だった。今回初の単独公演を体験してみて思ったけど、盛り上がりに欠けると言われがちなf(x)独特の変則的な曲たちは、どれも盛り上がらないなんてことは全くなかった。「Airplane」のクリスタル「Come with me. Airplane. Love.」のパートなんて跳ねまくりだった。

このブロックとブロックのあいだで流れたKLAVの映像だけが二日間見ても謎のままだったんだけど、誰かこれ紐解いて解説してくれないかな。目覚まし時計を落としたらトランプに変化したシーンだけが焼きついている。ここでは謎のきのこのオブジェも出てきて、南国のようなねっとりとした、f(x)ならではの毒っ気のある曲がセレクトされた印象。「Pretty Girl」のサビでまたもやルナの歌唱力が爆発していた。二日間とも最初から最後まで安定してて、さすがのルナさんだなと思った。生で聴くと、いい意味で笑えてくるくらいすごいんですよ。ここからの「Diamond」へのつなぎも秀逸だった。これもまた癖のある曲で、「4 Walls」でカムバしたときサブ曲でこれ持ってくるか…！とびっくりしたのが記憶に新しい。生で見たらめっちゃかっこよかった。そしてここでようやく「Rum Pum Pum Pum」披露。曲調的にはたしかにここで入れるのが正解だったかもしれないなと思い、セットリストを組んだ人に合掌。「 Step」のあとにサビの部分だけ挟んだ「SHAKE THAT BRASS」も大盛り上がり。めっちゃたのしい。テヨンのパートはルナが担当。めっちゃたのしい（二度目）。

「Love」の音楽に乗せて最後の映像。個人的にはこの映像がいちばんすきだった。さまざまな映像をプロジェクションでメンバーに投影していた、에프엑스_The 2nd Album 'Pink Tape'_Art Film みたいなかんじ。すきじゃないわけがない。しかもいちばんすきな映像からの、いちばん渇望していた「 4 Walls」という完璧な流れ。イントロの一音目で涙がこぼれた。そして最もおそれていたことが起きているのに気づいたのは、最初のAメロがおわる頃だった。そう、日本語歌詞。SMとavexが手を組むとろくでもないことが起きるのはSuper Juniorの諸案件で分かりきったことだ。ここにきて不意打ちで超短距離弾道ミサイル発射してくる無慈悲さよ…と落胆したのも束の間。聴こえてくる日本語歌詞に違和感がない…むしろロマンチックで耳触りのいい言葉ばかりが鼓膜を打つ。神（avex）よ、これができるならなぜ「Hot Summer」も救ってくださらなかったのか……アンバーが中低音のしっとりした声色で「おとぎの国」って歌うの最高すぎて世界滅亡。もう明日がこなくても本望だ。結果的に日本語でもよかったです。初日は日本語化したことに全く触れず、二日目もさらっとわたしたちからのプレゼントです〜〜くらいしか言及がなかったけど、リリース予定はないのかな？

このコンサートでいちばん感動した繋ぎは「4 Walls」からの「Papi」だった。「4 Walls」で膨らませた切なさを一蹴する電子音が間髪入れず入ってきて、自分のなかのモードも瞬時に切り替わるかんじ。冒頭の「La la la la I’mma show you how 세상은 내 것（世界は私のもの）」って爆裂かっこいい。本編はそのまま「Deja Vu」「Rude Love」「Cash Me Out」でおわり。どれも同じアルバムの中の曲だからか、どれも繋ぎが自然で最後の一音まで駆け抜ける感じが痛快だった。だいすきな「Rude Love」で銀テープが飛んだのもうれしかった。軽快で透きとおるようなハイトーンのサビが気持ちいい。あとは本編最後の「Cash Me Out」が思いのほかたのしくって、首を振り乱してジャンプしながら、音楽に身を委ねて会場の空気と一体になる感覚がたまらなかった。

アンコールの掛け声は、初日はみんな勝手が分からずに弱気な声で「アンコール」とぽつりぽつり言い出したのが印象的で、二日目は「エプエックス」に変わっていた。3 拍白に無理やり「エプエックス」って詰め込むと息を吸い込むタイミングが分からなくなって息苦しいね、と隣の友人と話していた。同じ単語をずっと連呼しているとゲシュタルト崩壊してくる。初日は 1 段目の通路のすぐ近くだったため、スタッフが通路封鎖し始めたときに、もしかしたらメンバーが通るかもと通路付近がざわめいていた。実際メンバーきたけど。言わずもがな、全員もれなく世界を超越したうつくしさだった。同じ生命体とは思えない。どうしてこんな残酷な隔たりが存在するのか。アンコール 1 曲目はだいすきな「So Into U」。初日は感極まったルナが涙していた。わたしは号泣。メインステージに戻って、件の「Hot Summer」日本語版。真冬に聴く「Hot Summer」も粋なものです。アンコールラストは「 Ending Page」なんだけど、この曲だけ和訳歌詞がスクリーンに映し出されるものだから、より感情移入してしまって、めっちゃ切なくていい曲だなとしみじみ思った。

総じて文句のつけどころのない完璧なコンサートだった。クリスタルはご機嫌上々で観客煽ったりなんかしちゃって、時折はにかむのがキュートだった。ステージ上ですっとカメラを見据えて見る人の心を射抜くするどい目線も健在で、やっぱり魅せられた。ルナはまだ見ぬ春のおひさまに向かってぱあっと咲くお花のように可憐でハッピーで、でも歌わせたら誰も敵わない強さを持ち合わせていて圧倒的だった。アンバーはいたずらっぽい屈託のない少女少年の一面と、深みのある声で魅せる女性男性の一面があって、たのしませてくれた。スパイスをひとさじ加える大切な役割を担っているメンバー。ビクトリアは持ち味の柔和な表情と佇まいが安心感与えてくれる。ダンスも他の3人と比べて優雅で体の曲線をきれいに見せる動きをするから、いい意味で画一的になりすぎないところがよかった。

結構5人編成のままのパフォーマンスも多かったから、ソルリのことを思い出さなかったと言ったら嘘になるけれど、いまこの瞬間のf(x)のすべてを惜しみなく見せてもらった充実感で、そこまで寂しくならなかった。むしろ、ソルリがいたら今回みたいなほとんどの曲で踊る構成にはできなかっただろうなと思う……でも「もしもソルリがいたら」なんて叶わぬ仮定で妄想にふけるのはもったいないので、わたしもやめにするし、メンバー4人にはこれからも前向いて一生懸命歩いていってほしいと思う。

最後に、土曜日の公演でインフルエンザをもらってきたらしく、一緒に入った友人姉といっしょにインフルエンザを発症しました。